天狗に愛されて


『神を忘れ、こんな事態を招いたのは
私達人間のせいでしょ。

それなのに頭ごなしに祓うなんて……。』


「……ハァ…お前、いつもそれだよな。
口を開けば「可哀想」「出来ない」ばっか。

それで手遅れになったらどーすんだ?
何度も言ってるが人を守るのが祓い屋だろ。」


確かに塞の言う事は一理あるけど、
どうしても非情になれない。


「妖に肩入れするのは
森に行ってる事と関係あるのか?」


『ッ!?』


「いつも行くよな?
誰も立ち入らない森に行けば噂になる。」


まさか見られてたなんて。
天狗の事を言えばほっとく筈がない。


『あんな所にずっと居ると息が詰まるのよ。』


これは本当の事だけどね。


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