天狗に愛されて


「残念ながら俺じゃないんですよね。
穴塞いだの譲葉なんです。」


……いや、なんでそれ言うの?


案の定、視線が一気に私に向けられる。


「おい……何故塞様と?」

「部屋から出なければ良いものを……。」


ヒソヒソと私の事を悪く言うのが聞こえ、
眩暈がする。


「ゆず……『最低ね……コイツらもアンタも。』」


塞の言葉を遮って宗家の屋敷に走った。


< 127 / 316 >

この作品をシェア

pagetop