天狗に愛されて


塞side


門から出て行く譲葉を見送り、屋敷に入る。


「あの娘に渡したのか。」


「……はい。」


柱に寄り掛かる人物に答える。

この神木家現当主、俺の父親だ。


「上手く事を運べたな。
私はまた籠り部屋に戻る。」


「それは、どういう意味ですか!?
譲葉に渡せば何かあるんですか!」


「譲葉……か。
あの娘、そんな名だったか?」


「は?」


「いや、只の独り言だ。
理由は時期に分かる…嫌と言う程にな。」


不敵な笑みを浮かべながら
当主は籠り部屋に入って行った。


塞sideEND


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