天狗に愛されて
通りゃんせ
『角羅山……。』
蛇太郎は〈霊山〉って言った筈よね?
『どー見ても
ヤバい感じしかしないんですけど。』
霊山は私みたいに視える人なら
…綺麗?穢れがないって言ったら良いのかな??
普通の山には感じない神聖さがあるの。
でも、目の前にある角羅山は視えない人でも
近付かないと思う位空気が淀んでる。
『これも例の妖が原因って事…?』
「お嬢ちゃん!」
ガシッ!
『はいぃぃ!!』
いきなり腕を掴まれて飛び上がる。
「その山に近寄っちゃなんねぇ!!」
『え、えっと…どちら様ですか?』
私の手を握り、
この場を離れようとするおじいさん。
「わしはこの近くに住む只の年寄りさ。
アンタ…この辺の子か?
最近、この山の近くで妙な事が起きるんや。
近寄っちゃなんねぇ!!」
「妙な事」って血を奪われる事かな?