天狗に愛されて
『それにしても凄い鳥居の数……。』
絶えず連なる鳥居に呆気に取られる。
そして、
『上に行く程悪い気がする。』
ザワザワと木々が騒めき、風が吹き荒れる。
とぉ…………んせ
『……何?』
前から何か聞こえ、耳を澄ませる。
とぉーりゃんせ とぉーりゃんせ
ここはどーこの 細道じゃ
天神さまの 細道じゃ
ちっと通して 下しゃんせ
御用のない者 通しゃせぬ
この子の七つの お祝いに
お札を納めに 参ります
行きはよいよい 帰りは怖い
怖いながらも
とぉーりゃんせ とぉーりゃんせ
姿は視えないのに声が聞こえる。
〈ねぇ、お嬢チャン?それでも通りたい…??〉
『なッ!?』
耳元で囁かれ、振り向く。
視えたのは黒い鳥だった。