天狗に愛されて
『そっか…怪我は?どこも痛い所ない??』
「少し…首が痛くて……。」
梨花ちゃんの背後に回り、髪の毛を払う。
『ッ!?』
そこには噛み跡があった。
「お姉ちゃん…?」
『あ、ううん……大丈夫。
直ぐに治るよ。(多分…)
梨花ちゃんが目を覚ました時に
その黒い鳥はもう居なかった?』
「うん!その代わりにあの子が居た!!」
あの子?
梨花ちゃんの指差す方向を見ると、
横たわる狐神が居た。
『まさか…ここの土地神が。』
急いで狐神に駆け寄る。
「この子…ずっと苦しそうなの!
でも、オバケだから怖くて……。」
『社に住む妖は人に害を与える事はしない。
寧ろ、人の信仰心がなければ
存在する事も力を保つ事も出来ない。』
この狐神の妖力はもう尽きかけてる。