天狗に愛されて


『私は自分を守る術を持ってるからね。』


ザワ…


「お姉ちゃん!後ろ!!」


ようやく、姿を現したか。

漆黒の翼を持ち、足は鋭い鉤爪。
人とはかけ離れた異形の姿。


『梨花ちゃん…行って。』


「で、でも!」


『早くッ!!!』


口調を荒らげると梨花ちゃんは
戸惑いながらも鳥居を潜った。

案外、簡単に逃がした事に拍子抜けする。


どういう事?
梨花ちゃんは血を吸われてたけど、
傷の具合から見てそこ迄吸われてなかった。

力を取り戻す為に襲ってたんじゃないの?
目的は??


〈……アンタ、お喋りダネぇ。〉


『!?』


私は一言も喋ってない。


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