天狗に愛されて
〈神を罵倒するなんて面白いネ♪〉
ケラケラと笑いながら地に降り立つ覚。
覚の文献はあまり残されていない。
だから、油断出来ない。
〈アタイを警戒するよりあの子は良いノ?〉
あの子……?
〈さっき逃げた人の子ダヨ♪〉
『梨花ちゃんには柊を渡してある。
無事に帰す為に私が…〈帰れないヨ?〉え?』
〈あの子、死んじゃうヨ?〉
『なッ!?』
あの柊には私が術をかけてるのに?
〈行きはヨイヨイ 帰りはコワイ〜♪
怖いと知りながらも通ったのが悪いんダヨ?
あの子はアンタの言い付けを守らず、
振り向いて喰われル。〉
梨花ちゃん!
覚に背を向け、鳥居を潜ろうとする。
〈アーア…油断しちゃっタ。〉
ガシッ!
『しまっ!!』
後ろから捕まって振り解けない。
〈イタダキマぁ〜ス♡〉
肌に触れたのは鋭く、尖った牙だった。