天狗に愛されて


『耳……ヤラれた…。』


キーンっと膜が張ったみたいになってる。

こんなに間近で神の御業を見るのは初めて。
そのせいか身体が小刻みに震える。


〈麒麟ちゃん、どうもねぇ〜♪〉


天狗が雲に向かって手を振ると、
あんなに黒かった空が嘘の様に晴れる。


『覚は!?』


辺りを見渡すと、


〈驚いた…まーだ息あるんだ?〉


〈……ッ………!!〉


消滅寸前の覚が天狗に刀を向けられていた。


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