天狗に愛されて


〈……それ、外しなヨ。〉


『え……?』


さっきとは変わって真面目な顔をする天狗。


〈なきむしちゃんには似合わないヨ♪〉


『はぁ!?』


何それ!
普通は嘘でも似合ってるって言うでしょ!

……妖に人間の常識は通じないか。


『もう良い!帰る!!』


シャラン!


勢い良く天狗に背を向けると、
耳飾りが音を立てて鳴る。


……そんなに似合わないのかな。


少し凹みながら鳥居を潜った。


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