天狗に愛されて


『蛇太郎!ねぇ!!』


シーン…


『隠れてるの?どこに居るの!?』


幾ら問い掛けても応答がない。

この部屋には蛇太郎が居る。
それが当たり前になってた…。


" だから!お菓子を食い散らかさないで!!"


" オイラは君みたいに手が無いから
無理なんだヨ〜。"


" 祓い屋に妖が居る事が先ずおかしいの!
とっとと出てけぇー!!"


あんなに邪険にしてたのに蛇太郎は
〈ごめんヨ〜〉っていつも笑ってた。

そうする内に居るのが当たり前になって…。


『一人に…しないでよ……。』


ずっと、一人だと思ってたのに。
失ってから気付くなんて私って馬鹿だ。


< 188 / 316 >

この作品をシェア

pagetop