天狗に愛されて


言霊は声が出ないと力を発揮しない。


「流石、呪い娘。
これまで転生した者とは違う。

妖の成人は十八。
何故、覚醒する前にバレたと思う?」


覚醒する前に…?


「お前の母…弥勒はある幻の術を施した。

この世は人間を陽、妖を陰とされている。
だが…半妖であるお前はどちらも司る。

それを逆手に取り陰だけを切り離し、
陽だけを転生させた。」


それが人間だった私…?


「私達は自分の子が妖ではないかと、
子が出来る度に怯えた。

覚醒した子を何度も葬(ほうむ)ってきた。
なのに…お前は何度も転生した。

呪いの様に。」


周りから突き刺さる視線は、
私を憎んでるって意味。


「私達は考えました。

元々転生するのは女だと分かっていたので、
余分な芽は摘み…一人の赤子だけを。

そして、陰と陽を切り離したのなら
接触させて元に戻してしまえば良いと。」


じゃあ…私は産まれた時から
この男の掌で泳がされていたんだ……。


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