天狗に愛されて


母様、どうして私を産んだの?
そうしなければこんな思いもせずに済んだのに。

母様が死ぬ事なんかなかったのに…。


「神木の名において外法のモノを封ずる。」


この世界のどこにも私の味方なんて居ない。

抵抗する事を諦め、
目を閉じて塞の呪文を静かに聞く。


「…ッ……いずれ災いとなるモノ…。」


最後の呪文に差し掛かった時、


ザシュッ!


「ぐあ!?」


〈カー!〉


塞の腕に羽が突き刺さり座り込んだ。


さっきの鳴き声は…カー吉……?


< 217 / 316 >

この作品をシェア

pagetop