天狗に愛されて
塞side
" 譲葉と交わした言葉。
アンタは覚えてるかい?"
一体、いつの事だ。
まだ譲葉と仲良かった時を必死に思い出す。
" ねぇ、塞。
悪い事をする妖は悪いけど、
何もしてない妖を虐めるのはおかしいよ…。"
" そんな事言ってたら祓えねぇーじゃん!"
" でも、自分の気持ちを押し殺してまで
祓う必要があるのかな…。"
" 俺だって出来ればしたくねぇーよ。
可哀想って少しは思うし。"
" それじゃあ、その気持ちをこれから
大人になっても忘れないでいようよ!
あの子達も生きてるから!!"
" そうだな!"
あれから時が経っても譲葉は変わらず、
妖らに優しかった。
逆に俺は…。
「は…変わったのは俺だけって事か。」
チャリ…
僅かに血の付いたピアスを手に取り山を降りた。
塞sideEND