天狗に愛されて


〈同じな様で違うと言いますか…。
僕達天狗に例えると話が早いですね。

天狗は元は人間だと言う
云われがあるのをご存知ですか?〉


『確か…僧侶がなったって聞いた事が。
記憶はあるの?』


〈いいえ…昔の事は記憶にありません。

ですから、僕ら天狗は『生成り』と言って
生きながらにして妖になったのです。

故に永遠に地に縛られる。〉


永遠…。


『それは、辛い?』


〈そうでもないですよ!
地に縛られていると言っても広いですから!!

この翼があればどこへでも飛んで行けます♪〉


バサッ!


そう言って黒い翼を見せてくれたけど、
この子の翼は片方しか無かった。


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