天狗に愛されて
『そんなの…そんなの許さないッ!!』
〈ユズリハ!〉
痛む身体を無理矢理動かし、
夜の森の中を走る。
" まーた泣いてんの?"
" 視えない人間の方がおかしい!"
" なっきむしちゃん♪"
ねぇ、天狗。
あの時の私は永い時間を生きるアンタが
暇潰しに人間で遊んでるんだと思ってた。
でも…違うんでしょ?
私が泣いてたから励ましてくれてたんでしょ。
『…ッ……ハァ…勝手に助けて、
勝手に消えるなんて許さないんだから!』
悲鳴を上げる身体に鞭を入れ、
深い森の中を走り続けた。