天狗に愛されて
切羽
桃の木の下に小天狗ちゃんが居たから
そこに天狗が居るのが分かった。
『天狗ッ!!』
駆け寄って目に入ったのは、
桃の木と同化しようとしている天狗の姿。
そして、私よりも傷が深い。
神水に…私を助けたせいで。
〈相変わらず…泣いてんのカイ?〉
まだ同化していない手で涙を拭われる。
『何してんのよ…。
なんで、笑ってんのよぉ!!』
〈…譲葉。〉
ドンッ!
強く押され、後ろに身体が倒れる。
〈……愛してる…。〉
その言葉を最後に天狗は飲み込まれた。