天狗に愛されて


『嘘……。』


フラフラと桃の木に近付く。


さっき迄ここに居た。

なのに、何も無かったかの様に
大きくて太い幹があるだけ。


『……ぇ…して…。』


ドンッ!


桃の木を強く叩く。


『返して…天狗を返してッ!!』


私が生き延びる度に大切な人が消えて行く。
母様も…今度は天狗。

なんで、どうして?
これ以上私から大切な人達を奪わないで。


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