天狗に愛されて
記憶に無い事だらけで何がなんだか分からない。
でも、この光景が嘘だとも思えない。
〈これからは、屋敷の連中に
『私の名前は譲葉よ!』って言えば良い。〉
『ゆずりは…えへへ♪』
嬉しそうに自分の名前を繰り返す私。
『天狗さんの名前ないの…?』
〈元々、妖に名はねぇーの。
祓い屋の連中はそれを逆手に取って
名縛りの術を使うから厄介なんだヨ。〉
確かに名が無い妖にその術を使えば
簡単に使役したり、祓う事が出来てしまう。