天狗に愛されて
『よっと!』
カシャン!
フェンスをよじ登り、
上手くバランスを取りながら立つ。
『建物ばっか。』
コンクリートで埋め尽くされた景色。
大昔はこんな風景じゃなかったよね。
緑が豊かで、空気も綺麗だった筈。
『飛べないかな。』
どこか遠くに、あの夢みたいにこの空を。
〈カー!カーカー!!カー!!!!〉
『カーカーカーカーうるさい!
言ってみただけだって!!』
私の言った言葉の意味を感じ取ったのか
止めるようにバタバタと忙しなく羽ばたいてる。
『私もアンタみたいに翼があればね。』
そしたらどこへでも飛んで行けるのに。