天狗に愛されて


塞side


山を降りた俺は、静かに屋敷に入る。


「ご当主!」


「若!ご当主様が!!」


騒ぎの中心へ行くと、当主が倒れていた。


「塞…戻って来ましたか。」


顔だけ見れば俺の父親だ。


" 譲葉の転生術を解けないと知り、
今度は自らの子孫を代償に転生したのサ。

顔は違えど、中身は同じ。

妖…いや、亡霊と言った方が正しいかな。"


「アンタ…誰なんだ。
本当に俺の父親なのか?」


「…何を言い出すのかと思えば。

私が何者であろうと
お前が我が子なのに変わりはない。」


たまに感じた違和感はそういう事だったのか。


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