天狗に愛されて


〈譲葉…半妖でもこれから生きる時間は
妖の時間に引っ張られてしまう。〉


『…うん。』


オレの話を向き合って聞く譲葉。


〈きっと、簡単には死ねない。
人間みたいに老いる事も出来なくなる。〉


『うん、分かってる。
でも…光陽を失う方が耐えられなかったから。』


後悔するんじゃないかと思った。

オレを助けず、
人間になりたいと願えば良かったと。


目の前で笑う譲葉の笑顔には
一点の曇りもなかった。


光陽side


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