天狗に愛されて
〈…譲葉。〉
『ん〜?』
自分から話し掛けて何故かよそよそしい。
〈羽根、持ってる?〉
『これの事?』
私が見せたのは『切羽』だった羽根。
でも、役目を終えたのか緋い光も消えて
只の羽根になってしまった。
〈それ、捨てないで持っててくれないか。〉
『…え、それって。』
" 天狗は自分が未熟だった時の
黒い羽根を一つだけ取って
一人前になったら羽根を番(つがい)に送る。
そんな儀式があるんです。"
小天狗ちゃんの言葉を思い出した。