天狗に愛されて
普通
『もしも〜し?』
倒れてる二人の頬を啄(つつ)く。
駄目だこりゃ完全に気を失ってる。
〈ユズリハ様ー!〉
〈甘いのくれ!〉
ワラワラと集まってくる妖達。
祓えない理由は私が妖に懐かれるから。
『はーい!
今日は結界が張ってあったでしょ。
ごめんね?ウチの馬鹿次期当主が。』
マジで塞の奴ハゲろ。
少しは歩み寄ろうとする気持ちも持て!!
〈うめぇー!!〉
〈あま〜い♪〉
美味しそうに頬張る姿を見たら、
こっちも嬉しくなる。
『じゃあ、これは夜のオヤツね。
ちゃんとセーブして食べなよ?』
〈〈ありがとうございま〜す!〉〉
『また明日。』
確かに私は妖に心を許し過ぎてると思う。
でも、一度でも関係を持ってしまったら
その存在を否定するなんて出来ない。