天狗に愛されて


近付くにつれ、大きくなる産声。


〈可哀想に、誰も君を愛さないのにネ。〉


無造作に置かれた赤子。

人間達もこの赤子が
いずれ妖になると悟ったんだろう。

己と少し違うだけで残酷な行為が出来る。


なんて、醜い。


〈成長して…苦しんで死ぬ位なら
オレが楽にしてやろーカ?〉


小さな首に手を掛ける。

少しでも力を入れれば容易く折れる。


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