天狗に愛されて


『誰のせいでもない事が辛い…。』


いっそ…誰かのせいにしてしまえば
私も楽になれるのにね。


〈風よ吹け〜♪〉


この声は!


ブワッ!


『どぉわ!!??』


いきなりの突風でスカートが捲り上がる。


〈今日はピンクかぁ!〉


ププッ!っと上空からからかう声が聞こえた。


『毎回毎回…このエロ天狗!!』


〈ヨッ!なっきむしちゃん♪〉


『うっさいッ!あっち行って!!』


コイツは人が泣いてる時に
どこからともなく現れて泣き虫と笑う。

緋色の翼を羽ばたかせ、
空から私を見下ろす悪趣味な妖だ。


< 36 / 316 >

この作品をシェア

pagetop