天狗に愛されて
〈何回も言ってるけどさ?
人間が黄昏時に森に入るもんじゃないヨ。〉
さっき迄ケラケラと笑ってたのに、
いきなり真面目な顔をし出した。
『生憎…私は普通の人間じゃないんで。』
〈人間だよ。〉
『だから、普通の!
普通の人間は術とか使えないし、
妖とか全く視えないの!!』
自分で言ってて悲しくなる。
〈普通だよ。
なきむしちゃんは普通の人間だよ。〉
それでも私を〈普通の人間〉だと、
この天狗は言い続ける。