天狗に愛されて


カシャン…カシャン……


足元にガラスの破片が飛び散っている。


「う…あぁ!」

「痛い!破片がぁ!!」


呻き声が木霊する。


「ゆず…り…は…。」


『さ…い……?違う!私は、私はこんな事!!』


本当に?


『ッ!?』


頭の中で声が聞こえる。


望んでないと嘘をつくの?


『私が…私が?』


〈ユズリハ。〉


『蛇太郎…?』


見ると呪符を解いた蛇太郎が私を見ていた。


〈神木家次期ご当主サマ。
この場は上手く誤魔化しておくれヨ。〉


呪符を解けば塞の目にも映る。


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