天狗に愛されて
『ハァ!ハァ…ッ!!』
行き慣れた道をひたすら走り続けると、
滝の音が聞こえ始めた。
私が向かったのは、
『この神水なら!』
傷を癒してくれる神水の滝。
パシャン!
両手が泉に触れると、
鎌鼬に切られた傷が消えて無くなる。
『風よ…白虎の使いよ……。
この神水を…〈なーにしてるんだい?〉』
こっっの馬鹿天狗!
呪文言ってる時に話し掛けるな!!
〈なきむしちゃん?
それ使って何するつもり??〉
『今はほっといて!
それ所じゃ…〈あんな奴ら癒すの止めなよ。〉』
え……?
〈あの風、オレがやったんだよ?〉
天狗は可笑しそうに笑った。