天狗に愛されて
妖と人間
〈ふぅ〜ん?なきむしちゃんがオレを??〉
腹を抱えて笑う天狗は余裕そうに振る舞う。
『アンタ…いつもみたいにからかってんの?』
まだコイツがやったとは決まっていない。
だって、あれは明らかに私が…。
〈あれれ?オレじゃないって思ってる??〉
宙に浮く天狗は大きな緋翼を羽ばたかせ、
私に問い掛ける。
『だって!私だけ怪我一つしてない!!』
〈それは蛇神が居たからさ☆。+〉
『でも…え?なんで、知ってるの……??』
蛇太郎があの場に居た事を知るのは、
塞と私だけな筈。
〈何度も同じ事言わすなよぉ〜…。
オレがやったんだから知ってるんだ。〉
本当に…本当に天狗が?
確かに嘘を言っても得はない、
でも…あそこに居た人間に危害を加える事も
得はなかったんじゃないの??