天狗に愛されて
〈あれ?固まっちゃったネ??〉
翼を仕舞い、離れた位置に立つ天狗。
『本当に…アンタなら!!』
〈祓うかい?このオレを。
仮にも神を祓うなんて罪深い人間だ。
それに、
なきむしちゃんは面白い事を言うネ?〉
私に背を向け、
神水の滝を見る天狗の表情は分からない。
『何が面白いのよ!』
〈だって…『祓わないといけない』
それって祓いたくないって事じゃないかい?〉
振り向いた天狗は何故だか悲しそうに見えた。