天狗に愛されて


『私は…。』


〈妖と人間の区別も付かなくなった?

それとも、寂しさを妖で埋めようと??
見掛けは同じでも根本的に違うんだよ。〉


いつものふざけた口調じゃない。
冷たく、私を突き放す声。


〈アイツらに
怪我負わせたのも単なる暇潰しだよ〜。

妖は人間にとって怪異だ。
オレ達は楽しめればそれで良いんだから♪〉


人をおもちゃとしか思っていない。


『アンタがそんな奴だとは思わなかった。』


確かにムカつく事もあったけど、
慰めてくれたり、愚痴も聞いてくれた。

心を許せた。

でも、
それが原因で妖に対して非情になれなかった。


『それでも、私は…。』


アンタに愚痴を零す時間が楽しかった。

それも〈暇潰しだった〉って言うの?


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