天狗に愛されて
寝ようとしても夢の事がチラついて、
やっぱり寝る事が出来なかった。
〈気晴らしに散歩して来たらどうダイ?〉
『……うん、そーする。』
蛇太郎の提案で私は外に出る事にした。
と言っても行く所が思い付くのは一つだけ。
『やっぱり、ここが一番好き。』
お決まりの場所。
チャプン…
足を水に浸けて、岩に寝転がる。
『冷たくて気持ちいぃ〜…。』
身体の中の悪い物が抜け落ちて行く感じ。
いつもだったらこのタイミングで
アイツが来るのに今日は現れない。
『……居るなら出て来なさいよ…。』
少しだけ寂しいと思い、目を閉じた。