天狗に愛されて


寝れたと思ったらまた真っ暗な闇。


『また…さっきの夢?』


でも、さっきよりも現実感がある。

視覚、聴覚、触覚…。
感じる事が出来る度ここに居る事が怖い。


『起きなきゃ…お願いッ……起きて!!』


私は本当にイカれてしまったんだろうか。

確かに身体の感覚を感じる。
でも、確かに私は滝の所に居たんだ。


あ……な…む……めよ…。


どんどん近付く声。


哀れな娘よ。


『な…によ……何が言いたいのよ!!』


途切れ途切れにしか聞こえなかった声は
嘘のようにハッキリと聞こえた。

私を哀れだと嘲笑っている。


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