天狗に愛されて


暗闇の中、一人じっとするのは苦痛。

ひたすら目覚めるのを待つ時間が
こんなに長く、怖いなんて知らなかった。


『なんで…なんで起きないの?』


怖い…誰か……ッ!!


泣き出してしまいそうになった。


その時、


ポウ…


『ひ…かり?』


暗闇の中に一点の光が現れた。

その光はフワフワと近付き、掌に収まる。


『暖かい…。』


どこか懐かしく感じさせる不思議な感覚。

淡い光は、
暗闇に怯える私を優しく包み込んでくれた。


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