天狗に愛されて


『脳内で喧嘩って中二病か。』


そんな事を呟きながら一人で笑っていると、


ドカーンッ!!


『……え?』


後ろから爆音が聞こえた。

慌てて坂を駆け上ると、
乗ろうとしていたバスが炎上していた。


『な、何が起こったの…??』


炎がゴオゴオと音を立て、
黒煙が空へ上る。


「お、おい!消防車!!」

「誰か乗ってるのか!?」

「バスが燃えてる!」


異変に気付いた人達が集まり始めた。


『…この辺りに水場は……。』


キョロキョロと辺りを見渡すが、
そんな物は何も無い。


〈私が御助力致しましょうか?〉


私の目の前に現れたのは水妖。

掴み所の無い水のように
ユラユラと空中を泳いでる。


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