浅葱の桜
四苦八苦しながら上に着ていた着物を脱ごうとした佐久に手を貸してやる。
「ありがとう、ございます」
肌の透けるような薄手の内着しか着てない佐久は正直目のやりどころに困る。
いつもならこんな女っぽくないのに。
「沖田さん?」
「あ? ……ごめん」
へなりと膝から崩れ落ちそうになる佐久を受け止めるものの、想像以上に細くて手を離してしまいそうになる。
でも、離したくない。どこにも、誰にもやりたくなんてない。
支えていただけの手を背中にまで伸ばすとその小さな体を強く抱き締めた。
「えっ!? お、沖田さん」
近くに見える佐久の顔は目元が潤み赤らんでいる。
「しばらく、このままで」
下ろしたままの髪を梳く。
火事だって火消しが追いつかずに延焼しているかもしれないのに。
こんなことしてる暇じゃないだなんて俺だって分かってる。
でも、久しぶりに感じる佐久の匂いと熱と全てが心地よくてたまらない。願わくばずっと触れていたい。
「沖田さん! は、離していただけませんか!?」