浅葱の桜
「えっ? ーーーーんむっ」
無防備に見上げた佐久に顔を近づける。
この顔。まだ何も分かってないな。
そんな無邪気さを利用しようとするあたり俺も卑怯だなぁ。
触れさせた佐久の唇はカサついた俺のとは違いしっとりとしていた。
「おおおお、沖田さん!?」
名残惜しくて何度も啄むように口付けを落とすもののいい加減止めないと佐久の頭が爆発しそうだ。
「ど、どうしたんですか?」
「……何でもないよ。さ、戻ろうか」
羽織りを脱ぐと佐久に掛ける。返り血が付いていて正直、いいものではないけど肌が透けるよりマシなはずだ。
手を引っ張りながら自覚したことに失笑を零す。
俺はーーーー。
佐久に、いいや。美櫻に惚れてるんだろうな。
今までに感じたことがないくらい好きだと思う。
馬鹿だとは、思うけれど。