浅葱の桜
「すごいな! 佐久!」
「? 何がですか?」
急に詰め寄ってきた藤堂さんに私は首をかしげる。
「あの総司とあれだけやり合えるなんて。ここにいる隊士連中でもあれだけやれるのはいないと思うぞ?」
「み、見てたんですか?」
誰もいないと思ってたのに。
そう聞くと「ああ」と簡単に答えてしまった藤堂さんにちょっと驚き。
「完敗、でしたけどね」
「僕が言いたいのは、そんなことじゃないんだって!」
君って思ってたより強いんだね!
そう言う藤堂さんの目はとっても輝いていて。
今さっき、沖田さんに私は完敗だったから全然すごいとは思えなかったけど。
藤堂さんがいうなら、すごいことなの?
「なぁ、僕のところに来ない?」
「はい?」
「だ〜か〜ら。僕の組に入らない?」
君のこと、気に入った。そう言って笑う藤堂さんに私はなんと返せばいいのでしょうか?