浅葱の桜
「その様子だとまだどこに所属するとか決まってないよね? だったら僕と一緒に––––」
「却下だ、平助」
私に迫っていた藤堂さんは襟首を掴まれて離れていく。
その首を掴んでいるのは沖田さんで、その後ろには土方さん?
「なんで! まだ配属先きまってないんだったら僕の組でもいいじゃん!」
「こいつは監察方にやる。極力新撰組の隊士として外を歩かせるつもりはねぇからな」
「なんで〜っ! いいじゃん、強いし!」
「そう言う問題じゃねぇだろよ」
「だったら僕と同室にしてよ!」
「「「なんでそうなるんだよ!(ですかっ!)」」」
思わず私まで反応してしまった。
と、藤堂さんは何を考えてるんだろう? 私と一緒の部屋がいいなんて?
「んなのもっとダメに決まってんだろうがッ! 手ェ出されちゃ困るんだよッ!」
「そんな風に見える? 僕」
同意を求められても私は苦笑いしか返せず。
「見えるも何も実際そうじゃねぇのか?」
「うるさいっ! 見てくれだけは良いくせに意気地なしの土方さんとは違うもんっ!」
「おい、いくら何でもそれは……」
「総司だって、格好良い! って噂されてるくせに昔のことがあって女の子のこと嫌いなくせに!」
「…………」
この態度、すっごく子供だな。
「平助テメェ後で覚悟しやがれ。とりあえず、佐久の部屋は総司んとこで決定してんだよ!
それに文句は言わせねぇからな!」
あ、土方さん怒った。
こめかみに青筋を作った土方さんは沖田さんから藤堂さんの襟首を奪うと引きずりながらどっかに行ってしまった。
「あいつは本当バカなんだから……」
流し目で私を見た沖田さん。
「とりあえずお前は部屋に戻ってろ。そこに山崎さんが来るはずだ」
山崎さんって誰?
「あのっ、沖田さんは……?」
一人じゃちょっと心細い。一緒にいてくれないかな?
「俺は……」
沖田さんは?
「用事がある!」
そうきっぱり行ってどこかへ行ってしまった。