浅葱の桜



「お前さんが桜庭佐久ちゅう奴か?」

「は……い?」



沖田さんに言われた通り部屋へと戻るとそこにはすでに誰かの姿があった。


すくっと立ち上がった彼は背が高くで色白で。


顔立ちも整っているので思わずポカンとしてしまう。



「俺の名前がわからんちゅう顔やな。俺の名前は山崎烝。新撰組の監察方や」

「あ、ああ。あなたが沖田さんの言っていた」



顔を知らなくてびっくりしてしまった。


……なんだろ? ここ、格好いい人多くないかな? 


女の子の人気高そ〜。



「––––って感じや。まぁ、トシさんのことだからお前を任務にやることは少ないやろうけど」



山崎さんに大体の仕事の内容を教えてもらった。


でも、そんなこと私にできるのかな?



「……まぁ、女が新撰組、強いては幕府の間者だとは思われにくいやろうから大丈夫やろうけどな」



山崎さんには最初から土方さんに私の情報は伝えられていた。


だからこそこんなことを平気で言えちゃうんだろうな。


経験したことないことばっかだし、色々な不安が入り混じって結局私が山崎さんに言えたのは。



「が、頑張ります!」



の一言だった。


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