浅葱の桜
ここに来て一月ほど経った。
それでもこの屯所の中で新たな出会いがあったり、まだまだ驚くことばかりの生活だ。
でも、それよりも私の頭を悩ませるのは…………。
「お、沖田さんっ」
「何だ」
「何でそんなに私から距離を取るんですかっ!?」
部屋に帰って早々沖田さんから露骨に避けられる。
昨日の夜もそんな感じで、最低でも一畳分の間隔は開けられて。
そんなに広いわけでもない部屋だから二人でもったいない空間を持て余しつつ過ごしている状況だ。
正直、居心地はあまり良くない。というか悪い。
なぜそんなに避けられるのかの予想が私には付け難くて、もやもやとした感情だけが残る。
「じゃあ俺は見回りがあるから」
そう言って出て行く沖田さんの背中を見送りながら私は大きなため息を吐いた。