浅葱の桜



「だからな、佐久」

「はいっ」

「総司はお前のことなんか嫌っちゃいねぇよ。ただ。

女が嫌いなだけだ」

「土方さんッ! いい加減にしてください! 俺は嫌いじゃなくて、苦手なんですッ!」

「そんなん変わんねぇよ」


沖田さんの脇をすり抜けていった土方さんはすっきりした様子で自室へと消えた。


二人残された私たちの間に何だか気まずい空気が流れる。



「あの、沖田さん」



私はある決意を彼に伝えることにした。


そのために私は沖田さんの前に立つ。


この決意が少しでも彼の苦痛を和らげることができればいいと思って。


私より沖田さんは背が高いから自然と見上げる形になった。



「私、女に見えないような努力をします!」

「は?」

「だから、沖田さんは私のことを『女』だと思わず、『男』だと思って接してください!」



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