浅葱の桜
「…………」
「はははっ!」
「そこ、笑うところありました?」
私、とっても真面目に言ったつもりなんですけど?
「いや、真面目すぎて逆に笑えるというか……」
よくわからない。
ただ一つ私が言いたいことを加えるならば。
「だから、部屋の中では遠慮しないでください」
自分の部屋でさえくつろげないなんて、嫌ですから。
「私も、沖田さんも、遠慮しない。それじゃあ、駄目ですか?」
私もいっぱい頑張りたい。この人の心の傷を掘り返さないよう。
その言葉に言葉を詰まらせた沖田さんは軽く目を見開いた後、
「分かったよ。佐久」
と笑顔で返してくれた。
その笑顔に顔が熱くなるのがわかる。
あれ? どうしたんだろ? 風邪でも引いた?
「じゃあ」
コツン、と額を叩かれる。
「早く部屋に戻るぞ」
そんな些細な言葉だけど彼も歩み寄ろうとしてくれるのがわかって。
「はいっ」と元気な声で答えた。