浅葱の桜
でも、今ここにいることは満足している。
華やかさなんて一切ないけど、皆が一生懸命に生きているって実感できる場所。
唐突に脳裏に浮かんだ光景。
新撰組の羽織が血に染まり、誠の旗が燃えていく光景。
何か分からない。
それでも、何故か既視感を覚える情景に私の体は身震いした。
「沖田さん……ッ!」
理由なんてない。言うなれば第六感というやつだろうか。
説明しづらい感情が体を突き動かす。
まるで私の体じゃないようだ。
でも、走り出さずにはいられない。
だって、このままじゃ沖田さんが。
「死んでしまう……!」
浮かんだ情景の最後に切り取られた景色は。
血だまりの中に体を沈め、目を見開いたまま微動だにしない沖田さんの姿だった。