浅葱の桜
向かう先は池田屋。
新撰組は池田屋か四国屋のどちらかだと言っていた。
二手に分かれ、沖田さんがどちらに向かったかなんて分かるはずがない。
でも、私には沖田さんが池田屋にいるという確信があった。
沖田さん……!
「死ぬなんて……許しませんから!」
頭を叩かれたことの恨み、忘れてないんですよっ!
未だに人の多い通りを駆けぬけながら、私は月下の中を走り続けた。
「ッ!」
池田屋の中から激しい喧騒の音が聞こえる。
もう始まっているのだ。そして、本命は池田屋だった。
正面から入ることに抵抗はなかった。
例え斬り殺されそうになってでも進まなければならない。