浅葱の桜
「早く帰ってきてくださいよ~」
昼間とはうって変わり、蝉の音も聞こえない静けさ。
いつもは落ち着く~って思いながら寝入ってるのに、今日はその静けさが落ち着かなかった。
部屋が広い。
ゴロゴロ~と横に転がりながら暇を潰す。こんな所を沖田さんが見たらどんな顔をするだろう?
唖然とするか、呆れられるか、はたまた怒られるか。
そのどれもが容易に想像出来て、おもわず顔が綻ぶ。
怒られたいとは思わないけど、早く沖田さんの顔を見たかった。
そして、向こうの皆さんの話を聞きたいーーーー。
ガラッと障子が開く音がして上体を起こした。
沖田さんが帰ってきたんだろう。私はふっと顔を上げた。
でも。
「な…………!」
「よぉ、姫さん」
そこに佇んでいたのは、沖田さんじゃない。
「何故、こんな所に居るのですか。……っ才蔵!」