このクラスには、何かが足りない。
僕と君と、夏の雨。
僕には、好きな人がいる。そう自分で気づいたのは、梅雨明け、つまり七月……くらいかな。
その人の名前?性格?……その前に自分の名前を名乗ってなかった。まずいまずい。
さて、僕は利々垣由利。みんなにはリリとかユーリとか(だから男だって)テキトーに呼ばれてる。
趣味は……将棋?かなぁ?好きな戦法は先手角交換四間飛車。何となくね。角交換なんたらが何かわからない?将棋の攻め方の一つなんだ。
学校では将棋部に入っているんだけど……。
え?何?そんなことが好きな人とどう関係するのかって?
実はね、好きな子も将棋部なんだよね。
この学校は兼部が認められてて、(中学校だけど)その子は書道部にも入ってる。それで、その子の名前は……。
写録方難。なんて読むか。しゃろくほうむずって読む。……はっきり言って写録は学力が(というか推理力じゃなくて勉強自体も)低い。普通の言葉で言っちゃえば馬鹿、だ。
何人かは写録のことをバカバカ呼んでる。でも、僕にはそれほどの馬鹿にも思えない。むしろ(あくまでも僕的に)頭がいい、としか思えない。うーん、好きだから、かなあ……。
そうそう、そういえば写録は書道部にも入ってるって言ったでしょ。写録、すごいほど書道がうまいんだ。筆一本で稼げるくらい。空海の生まれ変わりって先生は言ってた。空海がわからない人は、あのことわざ、弘法にも筆の誤りの弘法だ、と理解してくれればいい。
とにかく、うまいんだ。
「ね、リリ。」
「どは?な、なんだホームズ。」
「あ た し は ホームズじゃ な い !!!!」
「あ、ああ。写録、どうした。」
やれやれ、今日も大変だ。ホームズでいいじゃん。
「今日も理科だけどさ、プリント忘れたから、見して?」
「何だ、そんなことかホーム……ぐほ!?」
あいたたた……。だからホームズごときで叩くな。あー痛い。
「だから私は――」
「はいはいはいはいはい!!!!!!」
あっぶなかったぁ。もう殴られるのは御免だよ。
「見してやるからさ、ほ う む ず !!!!」
「何気なく嫌みが感じられる。」
「はい?何のことでしょう?」
いつもこんなんだよね。
「おーいユーリ、また朝からイチャイチャしてんのかー?」
あ、あの野郎またか……。茶々入れてきやがって……。
松枝林。女っぽい名前の男。クラスじゃ自称男子って呼ばれてる。僕の数少ない友達。
「違うっての。」
僕は答え、理科室へ行く。
もうホームズは言っているようだ。よっしゃあ、次の授業は天国だー!いろいろあって天国だー!
おっと、変なところを見せてしまった。
「よーしじゃあ、今日は地層のことやるぞー。」
と言いながら理科の先生が入ってきた。
あーあ、理科はあんまり好きじゃない。というか、苦手。
みんなの中にもそういう人、いるんじゃないかな?暗記とか嫌いな人。テスト、とかさ……。
ま、いいや。
「じゃ今日は火山なー。」
理科のせんせーの上空くげせんせーははっきり言ってつまらない。どうつまらないかってどこかの某 焔とかいう人がやる気のない人間というほどだ。小説にすれば一授業生徒のことも書くと三冊くらいの本にできるほど。何でって生徒一人一人が勝手なことしてるから。
というかこんなんなら授業なくてもいいじゃん。
「ねえリリ。」
あ、まずい、こいつの存在忘れてた。
そういえば読者の中にはちょっと僕の人格が変わったのに気付いた人いるかな?僕は好きな人に限らず女子と一緒にいると人格が変わるんだ。まったくそんな性格をしてるよ。はぁ。
「リリ、聞いてるの?」
「はいはい聞いてるよ。」
「プリント次のページにいったよ。めくって。」
「はいよ。」
あああ、疲れる。でもこいつはそんなやつなんだ……。そして僕はこいつを好きになってしまった。
そして僕はまだ動けないんだよ……。何も言えないんだよ……。
その人の名前?性格?……その前に自分の名前を名乗ってなかった。まずいまずい。
さて、僕は利々垣由利。みんなにはリリとかユーリとか(だから男だって)テキトーに呼ばれてる。
趣味は……将棋?かなぁ?好きな戦法は先手角交換四間飛車。何となくね。角交換なんたらが何かわからない?将棋の攻め方の一つなんだ。
学校では将棋部に入っているんだけど……。
え?何?そんなことが好きな人とどう関係するのかって?
実はね、好きな子も将棋部なんだよね。
この学校は兼部が認められてて、(中学校だけど)その子は書道部にも入ってる。それで、その子の名前は……。
写録方難。なんて読むか。しゃろくほうむずって読む。……はっきり言って写録は学力が(というか推理力じゃなくて勉強自体も)低い。普通の言葉で言っちゃえば馬鹿、だ。
何人かは写録のことをバカバカ呼んでる。でも、僕にはそれほどの馬鹿にも思えない。むしろ(あくまでも僕的に)頭がいい、としか思えない。うーん、好きだから、かなあ……。
そうそう、そういえば写録は書道部にも入ってるって言ったでしょ。写録、すごいほど書道がうまいんだ。筆一本で稼げるくらい。空海の生まれ変わりって先生は言ってた。空海がわからない人は、あのことわざ、弘法にも筆の誤りの弘法だ、と理解してくれればいい。
とにかく、うまいんだ。
「ね、リリ。」
「どは?な、なんだホームズ。」
「あ た し は ホームズじゃ な い !!!!」
「あ、ああ。写録、どうした。」
やれやれ、今日も大変だ。ホームズでいいじゃん。
「今日も理科だけどさ、プリント忘れたから、見して?」
「何だ、そんなことかホーム……ぐほ!?」
あいたたた……。だからホームズごときで叩くな。あー痛い。
「だから私は――」
「はいはいはいはいはい!!!!!!」
あっぶなかったぁ。もう殴られるのは御免だよ。
「見してやるからさ、ほ う む ず !!!!」
「何気なく嫌みが感じられる。」
「はい?何のことでしょう?」
いつもこんなんだよね。
「おーいユーリ、また朝からイチャイチャしてんのかー?」
あ、あの野郎またか……。茶々入れてきやがって……。
松枝林。女っぽい名前の男。クラスじゃ自称男子って呼ばれてる。僕の数少ない友達。
「違うっての。」
僕は答え、理科室へ行く。
もうホームズは言っているようだ。よっしゃあ、次の授業は天国だー!いろいろあって天国だー!
おっと、変なところを見せてしまった。
「よーしじゃあ、今日は地層のことやるぞー。」
と言いながら理科の先生が入ってきた。
あーあ、理科はあんまり好きじゃない。というか、苦手。
みんなの中にもそういう人、いるんじゃないかな?暗記とか嫌いな人。テスト、とかさ……。
ま、いいや。
「じゃ今日は火山なー。」
理科のせんせーの上空くげせんせーははっきり言ってつまらない。どうつまらないかってどこかの某 焔とかいう人がやる気のない人間というほどだ。小説にすれば一授業生徒のことも書くと三冊くらいの本にできるほど。何でって生徒一人一人が勝手なことしてるから。
というかこんなんなら授業なくてもいいじゃん。
「ねえリリ。」
あ、まずい、こいつの存在忘れてた。
そういえば読者の中にはちょっと僕の人格が変わったのに気付いた人いるかな?僕は好きな人に限らず女子と一緒にいると人格が変わるんだ。まったくそんな性格をしてるよ。はぁ。
「リリ、聞いてるの?」
「はいはい聞いてるよ。」
「プリント次のページにいったよ。めくって。」
「はいよ。」
あああ、疲れる。でもこいつはそんなやつなんだ……。そして僕はこいつを好きになってしまった。
そして僕はまだ動けないんだよ……。何も言えないんだよ……。