ばか、嫌い。でもやっぱ好き。
『あ……手。』

龍「あ、ごめ、手を伸ばしたからつい。」


すぐに手を離した。

いつもすっからかんだった私の手。誰かの温かみ。久しぶりに感じた。

初めて暗闇から掴んで助けてくれようとした手


『ふっ……』

龍「ちょ、おま、泣くなって!」

『泣いてないし。』


久しぶりに見たうっすら目から染みる汗。


《掴んでくれて、ありがとう。》


直接は言えないが心のなかで。


龍「えっーと、その。悪かったな。」

『龍はどこも悪くない。私がイケナイの。』

龍「そんな事は……」

『ごめんね。』

龍「お前……それ。」


そっと龍の頬を撫でた。


『ハッ!龍は女嫌いだったんだ。ごめ、馴れ馴れしくして。』

龍「お前は別にいい。」

『え?……』


頭をクシャっと撫でられた。目がしっかりと合った。なんだか離せない。

こんな人……久しぶりだ。


龍「お前は誰を見てる?」

『へ?』

龍「俺を見ろよ。」

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