その結婚、ちょっと待った!
俺を好きにさせてやると言われました
二週間ぶりに彼氏の尊(たける)とデートする事になった。
尊は休日出勤に残業が忙しくて、ここ三ヶ月は月に一回くらい会えればいい方だった。
二人で海までドライブをし、海岸沿いを歩きながら最近は何をしたとか、仕事はどう?なんて会話をした。
お昼になって、近くにあった海の見えるレストランで食事をする事にした。
二人で食事を楽しみ、食べ終わると尊は、急に真剣な顔をして私に言った。
「桃華、大事な話があるんだ。」
大事な話?
えっ、まさかプ、プロポーズとか!?
尊と付き合って一年、最近は忙しくて中々、会う時間もなかった。
ラインでは一日に三回くらいはやりとりはしてたし、喧嘩もしてないし、考えられるのはプロポーズくらいしか思いつかない。
私はドキドキしながら、尊とだったら結婚もいいかな……何て思いながらも、デレそうな顔を必死で隠し、私も真剣な表情で聞いた。
「大事な話って何?」
だが尊の口からは想像とは違う言葉が返ってきてーー
「俺、来月から海外に転勤になったんだ。」
「えっ?」
「もしかすると日本には帰らないかもしれない。だから俺達、別れようーー」
私はてっきり、指輪の入った箱を取り出してプロポーズされるんだと思っていた。
「海外に行ったらもう日本へは帰れないの?」
「ああ……。
桃華の事は好きだけど、今は恋愛よりも仕事を頑張りたいんだ。
俺のワガママ聞いてくれるか?」
私は急に言われて返事に戸惑った。
あまりにもその表情は真剣で、仕事に対する尊の思いも伝わってくる。
本当は離れたくない。
だけどーー
「そっか……尊の意思は固いし、仕事頑張ってね?尊の事、好きだからやっぱり悲しくなる。
嫌いで別れる訳じゃないから。」
「ごめんな……桃華。
そして俺のワガママ聞いてくれてありがとう。」
尊と付き合って一年。
今は仕事を頑張りたいと言われ、尊の決意は固く、好きだから、別れるのは辛かったけど、尊の仕事を頑張りたいと言う気持を応援してあげたいと思い、別れることになったーーー